人が増えたら、楽になりますか。 − "覚えてもらう時間" −

(更新: ) 著者: ナギ
#チームマネジメント #部下育成 #教える時間 #管理職 #40代管理職 #マネジメント
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人が増えたら、楽になりますか。朝の光の職場で、少量の資料を手に斜めを向く40代の管理職

「一人増えます」。そう決まったと聞いた日のことを書きます。

人が足りない状態で仕事を回していたので、増えること自体は、ありがたい話でした。

この記事は、増えた人に何を渡すかではなく、その人が覚えるまでの時間を誰の一日から出すのかを、考えていなかった話です。

最初に考えたのは、何を渡すかでした

人が増えるのは、素直にうれしいことです。ただ、そのあとに考えたのは、渡す仕事のことでした。

足りないままでいいという話ではありません。増えることは、望んでいたことです。

用意していなかったのは、増えたあとの時間のほうでした。

渡す仕事の候補は、すぐに出てきた

決まったと聞いた日、渡す仕事の候補は、すぐにいくつか出てきました。

あの仕事は任せられる。この仕事は、最初にちょうどいい。

僕が考えていたのは、新しい人に何をしてもらうかの方でした。

ナギ
よかった。で、何を渡そうか。

ナギ

僕の職場では、一人で回せるまでに時間がかかります

マニュアルがあっても、定型の仕事で数か月。判断のいる仕事なら、年の単位で見ています。

人数が増えた日から、仕事が一人分減るわけではありませんでした。

僕の職場は、専門の知識が要る仕事です。定型の仕事については、マニュアルの整備も進めていて、2〜3か月で回せるようになることを目指しています。

作業ができることと、自分で判断して仕事を回せること

判断が要る仕事は、1〜2年かかることもあります。作業ができることと、自分で判断して仕事を回せることは、別のものです。

これは僕の職場での実感で、職種によって違うと思います。

手順を渡しても、判断のところで仕事は止まる。その話は前に書きました。

その時間を、誰が持っているか

今回は、その判断が自分でできるようになるまでの時間を、誰が持っているかの話です。

厚生労働省の令和7年度「能力開発基本調査」では、能力開発や人材育成に問題があるとした事業所のうち、45.5%が「人材育成を行う時間がない」を挙げていました。

これは会社側が答えた数字で、教える人一人ひとりの実感を聞いたものではありません。それでも、時間の話は、僕の職場だけの話ではなさそうでした。

出典:厚生労働省「令和7年度 能力開発基本調査」(事業所調査・図36/複数回答)

教える人の仕事は、前と同じままでした

🧾 この章の話

誰の一日から、その時間が出ていたのか。昔の僕が、見ていなかった話です。

昔の僕は、教える役をお願いしながら、その人が普段持っている仕事まで見ていませんでした。

手分けをしても、合計は減りません

ここからは、前に人を受け入れたときの話です。教える役は、経験のある部下にお願いすることが多いです。

一人に集中させないよう、手分けをすることもあります。手分けをすれば、一人あたりは軽くなります。

それでも、チームが使う時間の合計は減りません。

教える時間は、どこにも余分に置いてありません

教える時間は、どこにも余分に置いてありません。自分の仕事を進める時間と、説明する時間と、確認する時間と、質問に答える時間を、同じ一日の中で使うことになります。

昔の僕は、教える役をお願いしたあと、その人の普段の仕事の量をそのままにしていました。いま思えば、無茶なお願いをしていました。

ナギ
お願いします、と頼んで。あとは、そのままにしていました。

ナギ

人は、増えました。教える人の一日は、増えていませんでした。

教える時間を足しておいて、普段の仕事の出せる量が同じままだと思うほうが、おかしかったのです。

人が増えることから、渡す仕事と教える時間の二つに分かれるY字の図。教える時間の先に、教える人の一日がある
図1:人が増えたときに考える、仕事と時間

一つの仕事だけを見て、遅いと思いました

一つの仕事だけを見ると、遅い。全体のタスクを見ると、教える仕事が入っていました。

教える役をお願いした人の仕事が、普段より遅く、期限の直前に上がってきたことがありました。その一つだけを見て、今回はずいぶん遅いな、と思いました。

僕自身、チーム全体の細かな状態を、いつも掴めているわけではありません。あのときは、目の前の成果物だけを見ていました。

ナギ
今回は、ずいぶん遅いな。

ナギ

全体のタスクを見てみると、その人は普段の仕事だけをしていたわけではありませんでした。教える仕事も、その中に入っていました。

新しく加わった人に付き添う時間が、そこにありました。

遅れているのか、教える仕事まで含めれば妥当なのか。そこを確かめるのは、僕の側の仕事でした。

教える時間も、仕事として見る

いまは、教える時間も、チームの仕事の一つとして見ています。

僕の場合、多くの普段の仕事には標準の工数を決めて、チームの負荷が見えるようにしています。教育そのものに工数を付けているわけではありません。

これは何年かかけて職場で整えてきたもので、同じ仕組みを作ればいいという話でもありません。

普段の仕事の量が、見えていると

それでも、普段の仕事の量が見えていると、教えることに時間を使った分だけ、何が減ったのかは前より分かります。遅れているのか、教える仕事まで含めれば妥当なのかを、確かめやすくなりました。

日程を動かしにくい仕事では、一時的に残業でカバーしてもらうこともあります。ただ、教える時間を足したまま、普段と同じ量が出る前提にはしません。

教える時間を増やせばいい、とも思っていません

教える時間を増やせばいい、とも思っていません。ずっと教えられているだけでは、立ち止まって考える時間がなくなります。

聞いたことを自分のものにするには、自分でやってみる時間も要ります。本人と話して、教える時間と、一人で考える時間の両方を取るようにしています。

ポイント:教える時間と、一人で考える時間

  • 聞いたことを自分のものにするには、自分でやってみる時間も要る
  • 教える時間と、一人で考える時間の両方を取る

仕組みがなくても、できることが一つあります。教える役を頼んだ人の仕事が遅く見えたら、その一つの成果物より先に、その人がほかに何を持っているかまで確かめる。

それだけで、目の前の一件だけを見て「遅い」と判断せずに済むようになりました。

まとめ|人が増えたと感じるのは、少しあとです

人が増えた日と、チームが楽になる日は、別の日でした。

楽になった、と感じた日は、これまでにもありました。

質問が減る。自分で判断できるようになる。確認なしで定型の仕事が回る。

ナギ
どれも、楽になったと感じた日でした。

ナギ

一番大きいのは、教えていた人の時間が、元の仕事へ戻ってきたときです。僕の職場では、新しい人が覚えるまで、人数は増えていても、教える側の時間が使われています。

それが戻ってきて初めて、一人増えたことが、チームの力として効いてきます。

一人増えたと僕が感じたのは、教えていた人の時間が、元の仕事へ戻ってきた日でした。

※この記事は、一人の管理職の一次体験です。人数・部署・時期・業務の中身は、特定できないよう複数の経験をもとに再構成しています。教える役をお願いした人についても、複数の場面をまとめています。覚えるまでの期間は僕の職場での実感で、職種によって違います。

— Calmly. Surely. —


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