「これ、何のためにやってるんですか」と聞かれました。 − "名残の決まり" −

(更新: ) 著者: ナギ
#40代管理職 #マネジメント #社内ルール #引き継ぎ #記録の残し方 #報告書
この記事は約 7分 で読めます

※本記事にはプロモーション(アフィリエイトリンク)が含まれます。紹介する商品・サービスは、運営者が実際に利用または検討した上で価値があると判断したもののみを取り上げています。

「これ、何のためにやってるんですか」と聞かれました。くすんだ青の背景の右側で、問われて立ち止まった40代の管理職

いま続けている仕事について、部下から質問を受けました。「これ、何のためにやってるんですか」。

僕は、答えられませんでした。

ナギ
理由は、僕も知らないままでした。

ナギ(当時)

長く続いているものの中には、それを決めた本人が、もう職場にいないものがあります。僕自身も、いまある仕事の全部の出どころを知っているわけではありません。

「昔からこうだから」と言えば、その場は終わります。でも、それは僕が一番嫌いな答え方でした。

だから、過去をたどりました。たどるのは、思っていたよりずっと大変でした。

「これ、何のためにやってるんですか」に、答えられませんでした

理由を知らないまま、続けさせていました。

一度きりの話ではありません。似たような聞かれ方を、何度か受けています。

「このやり方で本当に正しいんですか」に近い問いが来ることもあります。

若手の部下
このやり方で、本当に正しいんですか。

若手の部下

そして、僕自身も思うのです。確かに、これはなぜやっているんだろう、と。

困ったのは、その先です。僕の側に、返す材料がありませんでした。

知っていて黙っていたわけではありません。その仕事が始まった背景や、なぜいまの形になったのかまでは、十分に引き継がれていませんでした。

僕は、途中からこの職場に来た側です

僕は途中からこの職場に来た側です。分からないまま、その場で答えられないことがありました。

ナギ
……何のため、か。考えたこと、なかったな。

ナギ

長く続いているものの中には、それを決めた人が、もう職場にいないものがあります。

形は残っていました。でも、なぜその形になったのかは、すぐには分かりませんでした。

「昔からこうだから」と、言いかけました

理由の代わりに、続いてきた長さを持ち出そうとしていました。

「昔からこうなので、その通りやってください」。そう言えば、その場を終わらせることはできます。

ただ、僕はこの答え方が一番嫌いです。僕自身がそう言われても、まったく腹落ちしないからです。

僕が納得できない答えを、部下に渡したくはありません。

もう一つあります。「この人に聞いても分からないんだな」と思われてしまえば、次から疑問を持ってきてもらえなくなるかもしれません。

僕は、そういう返し方が、少しずつ上司への信頼を削っていくと考えています。だから、分からないときに勢いで答えることは避けています。

それでも、口から出かかることはあります。

ナギ
危なかった。「昔からこうなんだよ」で終わらせるところでした。

ナギ

出どころをたどるのは、かなり大変でした

🧾 この章の話

決めた人がもういないものを、どうたどったかの話です。

出どころをたどると、それを決めた人は、もう職場にいませんでした。事情がまったく残っていないわけではありません。

ただ、たどり着くまでが、思っていたよりずっと大変でした。

長く続いているものには、当時、その形にした事情があったはずです。そう思って見ます。

形だけが、名残のように残っていました

決めた人を責めたいわけではありません。事情は見えにくくなって、形だけが、名残のように残っていました。

残っている情報を探し、関係する情報をたどっていくと、なぜその形になったのかが分かったことがあります。絡んだ糸を、一本ずつほどいていくような作業でした。

いまある仕事の全部をたどれているわけではありません。それでも、たどれたものについては、形の後ろにあった事情が見えました。

その場で言えても、残っているとは限りません

理由をその場で言えても、あとから読める形で残っているとは限りませんでした。

担当者が不在になっても仕事が止まらないように、渡し方を考えた話は前に書きました。あれは、渡す相手も、渡す本人も、まだ職場にいる話でした。

今回は、渡すはずだった人が、もういない話です。

答えられなかったものを、すぐには消しませんでした

答えられないものを、すべてやめてよいわけではありませんでした。

まず、線を引いておきます。安全、法令、品質など、勝手に外してはいけないものは、この話の外です。

理由を知らないからといって、変更してよいわけではありません。根拠を確認できないうちは、外しません。

ポイント:この話の外にあるもの

  • 安全、法令、品質など、勝手に外してはいけないもの
  • 根拠を確認できないうちは、外さない

ここから書くのは、日常の進め方など、管理職の裁量で見直せる範囲の話です。

前に決めた人が残したものには、まず何か理由があったはずだと考えます。簡単には消しません。

判断材料を、そろえます

筋が通っているか。いまの状況と合っているか。

もとの考え方は何だったか。角度を変えて情報を集めて、判断材料をそろえます。

そのうえで分けます。いまも必要だから残すものもあれば、いまの状況なら変えた方がよいもの、もう必要がないのでやめるものもあります。

理由が分からないことは、不要の証拠ではありません。僕がまだ理由までたどれていないだけかもしれません。

いまは、報告書に「なぜ」を書き足しています

自分が着任してから変えたものは、報告書に、調べて分かったことまで書いて残しています。

何を調べて、何が分かったのか。なぜ変えることにしたのか。

どういう流れでその形になっていたのか。それを、変えた結果と同じところに書いておきます。

ポイント:変えたときに、一緒に書いておくこと

  • 何を調べて、何が分かったのか
  • なぜ変えることにしたのか

特別な様式は要りません。いつもの報告の中でいいと思っています。

反映先の文書にも、あとから「なぜこの形なのか」が要りそうなものは、理由まで書いてもらうようにお願いしています。量が多くて本文の邪魔になるときは、後ろにまとめて付けることもあります。

変更した形だけではなく、なぜ変えたのかまで残します。

次に何かを変えるとき、その報告に、なぜまで書いておく。この記事から持ち帰ってもらうなら、その一つです。

ナギ
次の人が、同じところをもう一度たどらなくて済むように。

ナギ

まとめ|決めた形だけでは、渡したくない

当時は、その形にした事情があったのだと思います。渡らなかったのは、その事情のほうでした。

決めた人がいないなら、いま決めるのは僕です。決めた結果を引き受ける話は前に書きました。

今回は、その決めたものを、次へ渡す話です。僕が決めたものも、いつかは誰かに渡ります。

📌 僕が、次の人に残すもの

  • 理由が分からないことは、不要の証拠ではありません
  • 変更した形だけではなく、なぜ変えたのかまで残します

「昔からこうだから」で渡されて、僕は困りました。だから、同じ形では渡したくありません。

僕が残したいのは、決めた形だけではありません。「なぜそうしたか」までです。

※この記事は、一人の管理職の一次体験です。決まりの中身・時期・聞いてきた相手は、個人や会社が分からない形に整えています。安全・法令・品質に関わる決まりは、理由が見えなくても勝手に外しません。この記事で扱ったのは、日常の進め方など、管理職が見直せる範囲の話です。お勤め先に規程があるなら、そちらが先です。

— Calmly. Surely. —


昔からこうだから、を考え直す本がありました

出どころをたどっていた時間は、いったんできあがったものを、もう一度考える時間でもありました。『THINK AGAIN』の第1部の見出しは「自分の考えを再考する方法」です。向きが、同じでした。

※ここからはアフィリエイトリンクを含みます。

THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す 表紙
▶︎ 決めたあとに、もう一度考えるために

THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す

アダム・グラント 著/楠木建 監訳(三笠書房)

組織心理学者の著者が、一度できあがった考えを、もう一度見直すことを扱った本です。決めたあとに考え直すときの、手がかりになります。

  • 一度決めたことを、考え直す側の視点をくれる
  • 第1部に、「思考の盲点」に気づく章がある
Amazonで見る →

関連記事

🧭 次に読むおすすめ

この記事とテーマの近い順に選んでいます